税金

「インボイス制度」

 令和5年10月からインボイス制度が始まります。

 インボイスとは「適格請求書」のことで、インボイス制度開始後は
適格請求書発行事業者から発行を受けた適格請求書に記載された消費税だけが
消費税計算上の控除対象となります。
今回は制度開始後の、
 ①免税事業者と取引する事業者の影響
 ②制度開始後の免税事業者の選択肢、についてご案内します。

①免税事業者と取引する事業者の影響
「事例」
A社がデザイン業務をB社から110,000円(消費税10,000)で受注し、
免税事業者Cへ88,000円(消費税8,000円)で外注していた場合。
◆A社の消費税計算【現行】 
・B社から預かった消費税    10,000円                    
・免税事業者Cへ払った消費税   ▲8,000円
・国へ納める消費税        2,000円

◆A社の消費税計算【インボイス制度開始後】
・B社から預かった消費税    10,000円                    
・免税事業者Cへ払った消費税      0円 *1
・国へ納める消費税        10,000円

*1 免税事業者Cへ消費税分8,000円を払っていますが適格請求書発行事業者ではないため
  消費税計算上控除できない

事例のようにインボイス制度開始後、A社は控除できない消費税は払いたくないので、
免税事業者Cに対して消費税相当額の値下げ(消費税を請求しないよう要求)や
適格請求書発行事業者になるように求める、若しくは適格請求書発行事業者である
別の業者に外注先を変更することが想定されます。

②制度開始後の免税事業者の選択肢
「事例」
デザイン業務を事業としている免税事業者乙の年間売上は88,000円(消費税8,000)で
経費は33,000円(消費税3,000円)だった場合。
◆現行【免税事業者】
 手残り             消費税計算
 売上   88,000円       免税事業者のため納税不要
 経費  ▲33,000円
 手残り  55,000円

◆インボイス制度開始後【免税事業者のまま】
 手残り             消費税計算
 売上   80,000円 *2     免税事業者のため納税不要
 経費  ▲33,000円
 手残り  47,000円
*2 取引先より消費税相当額を取らないように求められた場合

◆インボイス制度開始後【適格請求書発行事業者を選択】
 手残り            消費税計算
 売上   88,000円      預かった消費税    8,000円
 経費  ▲33,000円      支払った消費税   ▲3,000円
 消費税  ▲5,000円      国へ納める消費税   5,000円
 手残り   50,000円

なお、消費税の計算には簡易課税制度というものがあり、こちらを適用した場合は
売上の預かった消費税の50%(デザイン業の場合)を納めれば良いという特例があります。
◆インボイス制度開始後【簡易課税を適用した場合】
 手残り            消費税計算
 売上   88,000円      預かった消費税       8,000円
 経費  ▲33,000円      国へ納める消費税 (50%)▲4,000円
 消費税  ▲4,000円      
 手残り  51,000円

事例では免税事業者のままでいるよりも、適格請求書発行事業者を選択した方が
消費税を納めても手残りが増える結果となっています。
取引先が事業者か消費者か、消費税が含まれる経費の割合などで結果は変わりますので、
どちらが有利か一概には言えませんが、制度開始までに判断が必要となります。
なお、適格請求書発行事業者を選択すると「2年間」は免税事業者に戻れないことも
注意が必要です。

令和5年10月1日より適格請求書発行事業者になるためには原則令和5年3月31日までに
登録申請が必要です。

詳しくは担当者までご連絡ください。

(高)

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