令和3年12月24日に閣議決定された「令和4年度税制改正の大綱」より、主な改正項目をピックアップしてご案内します。
(令和4年1月14日現在財務省その他省庁のサイトで公表されている資料を基に作成)
〇個人所得課税
◆住宅ローン控除の延長・見直し
住宅ローン控除について、控除率を0.7%に引下げる(現行1%)他、次の措置等を講じた上で適用期限を4 年延長
(令和 7 年 12 月 31 日まで)
・所得要件を 2,000 万円以下に引下げ(令和4 年1 月1 日以後居住)
・環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置あり
・既存住宅の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋である要件を追加
(令和4 年1 月1 日以後居住)
・個人住民税の住宅借入金等特別税額控除を最高 9.75 万円に引下げ(令和4 年分以後の住宅ローン控除適用対象者)
〇資産課税
◆住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し
住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置について、
・非課税限度額を引下げ、一律に(現行は、契約時期により異なる)
省エネ等住宅:1,500万円⇒1,000万円 それ以外の住宅:1,000万円⇒500万円
・適用対象となる既存住宅の要件について、住宅ローン控除と同様の改正あり
・令和 4 年4 月1 日以降、受贈者の年齢要件を18 歳以上に引下げ
・適用期限を 2 年延長(令和5 年12 月31 日まで)
〇法人課税
◆中小企業向け賃上げ促進税制の見直し・延長
雇用を確保しつつ、積極的な賃上げや人材投資を行う中小企業等を後押しすべく、
・雇用者全体の給与(給与等支給総額)が前年度比 1.5%以上増加した場合に、その増加額の15%を税額控除
・もしくは、前年度比2.5%以上増加した場合には、30%の税額控除
・加えて、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率10%上乗せ(最大40%の税額控除)
・適用期限を 2 年延長(令和6 年3 月31 日までの間に開始する各事業年度まで)
◆少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し
・次の制度について、適用対象資産から貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除外
① 少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度(取得価額 10 万円未満)
② 一括償却資産の損金算入制度(取得価額 20 万円未満)
③ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(取得価額30 万円未満、合計300 万円まで)
※③については適用期限を2 年延長(令和6 年3 月31 日まで)
〇その他の改正
◆消費税 適格請求書保存方式(インボイス制度)に係る見直し
令和5 年10 月から始まるインボイス制度に関連し、主に以下を整備
① 免税事業者の課税期間中の登録が柔軟に
令和11 年9 月30 日までの日の属する課税期間中までに適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、課税期間の中途であっても、
その登録日から適格請求書発行事業者になることが可能に(翌課税期間の開始の日を待つ必要なし)
② ①の適用を受ける場合の 2 年間の課税事業者強制適用
その登録日が令和5 年10 月1 日の属する課税期間中である者を除き、その登録日の属する課税期間の翌課税期間からその登録日以後2 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、事業者免税点制度を適用しない
③ 仕入明細書による仕入税額控除の適用要件の見直し
買手(課税事業者)は、その課税仕入れが売手の「課税資産の譲渡等」である場合に限り、仕入税額控除ができる
④ 経過措置の適用対象となる棚卸資産の調整
適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者等)から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置の適用対象となる棚卸資産については、その棚卸資産に係る消費税額の全部を納税義務の免除を受けないこととなった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整措置の対象とする
◆財産債務調書制度の見直し
財産債務調書について、
・提出義務者の範囲に、財産価額の合計が10 億円以上の者を追加(所得要件なし)
・提出期限を翌年 6 月30 日に(現行は翌年3 月15 日)(国外財産調書も同様)
・記載を省略できる家庭用動産の取得価額を 300 万円未満に(現行100 万円未満)
・令和 5 年分以後の財産債務調書及び国外財産調書について適用
・令和 6 年1 月1 日以後に提出される財産債務調書について、更正等の予知なく期限後提出された場合に期限内提出とみなす措置について、その提出が税務調査の通知前にされたものである場合に限り適用(国外財産調書も同様)
(担当:高)