荻島宏之の経営コラム

2月10日は何の日?

今日は何の日?という話題ではなく、
今では当たり前と思っている事もそうでない時代もあった。
その新しい当たり前が必ず世の中の役に立つという気概を持った人、の話です・・・が
それは最後までいかないとわかりません・・・、

さて、「一般社団法人日本記念日協会」という団体をご存知でしょうか。

私もつい最近知ったばかりなのですが、「〇〇記念日」や「〇〇周年」の認定登録をする団体とのことです。

ホームページを見ると、その日の登録されている記念日や周年の一覧を見ることができ、
その数の多さにビックリしました。
月日検索も出来ますのでご自身の誕生日や記念日で検索してみると面白いかもしれません。

この協会の事を知るキッカケが「簿記の日」です。2月10日が簿記の日というのもわりと最近知ったのではありますが、
なぜ2月10日が簿記の日なのでしょうか。
ちなみにニート(2ニー10ト)の日でもあるそうです。

明治初期に、かの福沢諭吉が洋式簿記の米国商業学校の教科書を翻訳して「帳合之法」というタイトルで出版しました。
この「帳合之法」の序文が記されたのが2月10日という事で、日本に洋式簿記(複式簿記)がもたらされた記念日としたようです。

簿記に触れた事がある人なら「借方」「貸方」という言葉に違和感をもたれた方も多いのではないでしょうか。逆じゃないかと。

これを福沢諭吉の誤訳とする説を見聞きすることもありますが、大間違いです。

もともと英文でも、簿記の借方側(左側)はdebit、貸方側(右側)はcreditと表記されています。

素直に訳せば、
debit=借
credit=貸
なので、借方、貸方で良いのです。

ただ、日本人の感覚だとどうしても違和感を感じてしまうところですが、福沢諭吉も同じような違和感を感じたらしく、
訳者註釈でそのことについて記載されています。

この違和感には諸説あるようですが、
帳簿をつけている当人視点ではなく、
相手方の立場で見た時に「借りているか」「貸しているか」という視点で名付けられたという事のようです。

誤訳だなんてとんでも無い間違いですが、
それ以上に複式簿記を日本に導入しようとした福沢諭吉の前書きに感激してしまいます。
前書きは4つのことが記されていました。

その中の4つ目を現代語でいうと、
「この本を学べば商工業を軽蔑することなく、実業界で独立しようという志が生まれてくる」
というものです。

武士の時代には蔑視されていた商人達が活躍する時代が来る。
そのことが国の発展に貢献する。
この洋式簿記を学ぶことで、自分で事業を興してみようという人物が生まれてくる。

そんな気概が感じられ、昨年の大河ドラマの主人公であった渋沢栄一にも通ずるところを感じました。
多くの人が商売を下に見、帳簿をつけるといっても大福帳(とはいっても複式簿記的なものは一部で行われていたようですが)が
「当たり前」だった時代に、一石を投じる気概に感動すると同時に、
この文章がおこされた「2月10日簿記の日」が結構好きになりました。

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