Q:銀行からお金を借りたいんだけどどうすれば良いの?
A:起業時の資金調達方法として最も多いのが金融機関からの借入です。まずはどのような借入方法があるのかを良く調べた上で、どの方法を使うかを決めるのが良いと思います。今回は一般的な金融機関からの借入の流れと、起業時の代表的な融資制度をご紹介します。
1、一般的な融資の流れ
まずは金融機関からの借入を行う場合の、借入申し込みから実際に資金が自分の口座に振り込まれるまでの流れを日本政策金融公庫を例としてみたいと思います。
◆申請~融資実行の流れ(日本政策金融公庫の場合)
全く初めての借入の場合は申込より融資実行まで1か月はかかると考えた方が良いです。
2、創業融資とは?
「創業融資」という言葉自体は通称ですが、一般的に下記の2つをさします。
①日本政策金融公庫(昔の国金)の「新創業融資」
国が100%出資している政府系金融機関である日本政策金融公庫。
一般の金融機関を補完する金融機関のため、民間よりも創業者にやさしいです。
②信用保証協会・自治体・民間の銀行が連携している「制度融資」
実績のない創業時には民間金融機関は融資をしにくいものです。そこで信用保証協会が、借り手が金融機関に返済できなくなった場合には代わりに返済するという「保証」を付けることで金融機関が貸しやすい状態を作ってくれます。
また、自治体は保証協会に対する保証料や金利の一部を補助してくれることで創 業者を支援してくれます。
※民間の金融機関が独自(プロパー)に創業者向け融資を行うことはほとんどありません。
3、創業時に使える融資制度の概要
それでは、創業時に使える融資制度の概要を見ていきます。
①日本政策金融公庫 「新創業融資」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
融資限度額 | 3,000万円 ※うち運転資金1,500万円 |
返済期間 | 設備資金15年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金5年以内<特に必要な場合は7年以内><うち据置期間1年以内> |
利率 | <基準金利>
2.5~3.0% ※平成26年10月現在 |
担保・保証人 | 不要 |
審査期間 | 3週間~1か月半 |
申込→融資実行の流れ | 相談→申込→面談→結果通知→実行 |
自己資金要件 | 創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要 |
②日本政策金融公庫 「中小企業経営力強化資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html
融資限度額 | 7,200万円 ※うち運転資金4,800万円 |
返済期間 | 設備資金15年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金5年以内<特に必要な場合は7年以内><うち据置期間1年以内> |
利率 | <基準金利>
0.9~2.3% ※経営革新等支援機関と事業計画策定により引き下げ可能 |
担保・保証人 | 不要 |
審査期間 | 3週間~1か月半 |
申込→融資実行の流れ | 相談→申込→面談→結果通知→実行 |
要件 | 自ら事業計画の策定を行い、認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方 |
こちらは、私たちのような認定経営革新等支援機関と一緒に事業計画を作ることによって利率がとても低い借り入れが行える融資制度です。
③東京都制度融資「創業」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/kinyu/yuushi/sougyou.html
融資限度額 | 1,000万円~2,500万円 |
返済期間 | 設備資金10年以内<うち据置期間1年以内>
運転資金7年以内<うち据置期間1年以内> |
利率 | 【固定金利】 2.1%~2.7%
【変動金利】 短プラ+0.9%以内 |
担保・保証人 | 連帯保証人:原則として不要、物的担保:原則として不要
★信用保証協会の保証が必要 |
審査期間 | 1か月~2か月 |
申込→融資実行の流れ | 金融機関の選定→相談→申込→面談→結果通知→実行 |
自己資金要件 | なし |
④渋谷区「創業支援資金」
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/firm/yushijosei/sb_yushi.html
融資限度額 | 1,250万円(ただし必要額の1/2相当額)
代表者が区内在住又はファッション・デザイン・IT等の特定業種の場合、保証料を30万円まで補助 |
返済期間 | 7年以内<うち据置期間1年以内> |
利率 | 1.9%(利用者負担0.4%、区負担1.5%) |
担保・保証人 | 連帯保証人:原則として不要、物的担保:原則として不要
★保証協会の保証が必要 |
審査期間 | 2か月~3か月 |
申込→融資実行の流れ | 区のあっせん申請→経営相談員の融資相談→あっせん書発行→金融機関の選定→相談→申込→面談→結果通知→実行 |
自己資金要件 | 創業資金総額の1/2相当の自己資金が必要 |
こちらは渋谷区限定の制度ですが、要件にあてはまる場合にはチャレンジする価値がある制度です。利率の1.5%を渋谷区が負担してくれるので実質0.4%で借り入れが可能です。また、信用保証協会に保証してもらう場合に発生する保証料についても要件がありますが30万円まで渋谷区が補助してくれます。
渋谷区に限らず、各市区町村などで固有の創業支援融資制度がありますので是非、活用をご検討ください。
4、創業融資について審査担当者が見るポイント
金融機関の担当者に創業融資ならではの審査ポイントを教えてもらったことがあります。以下、箇条書きですがご参考になればと思います。
・創業しようとしている事業についての経験がある。
・既に新事業について売上の見込みが確実(契約書等がある)
・資格や免許がないとできない事業についての資格等を持っている
・創業者個人の資産を持っている(返済能力)
・創業者の家族が資産を持っている(返済能力)
・妻が働いている→創業者の給与が一時的にとれない場合の家計への影響
・妻がともに創業事業で働く→コストを抑えられる
・利益計画の数字が返済のことを考慮している
・利益計画の数字に根拠がある
・「利益」計画と「資金」計画の違いを創業者がわかって作成している