Q:事業計画って必要なの?
A:必要です。
とあっさり終わってしまいそうな感じですが、今回は事業計画の中身というよりもなぜ必要かを考えていきたいと思います。
◆事業計画に書かれるモノ
そもそも事業計画ってどんなもの?という疑問があるかもしれませんので一例として日本政策公庫の創業融資申し込みの際に記載する「創業計画書」の項目を見てみましょう。
①創業の動機
そもそも何故起業しようと思ったか?
②経営者の略歴等
どのような人物が起業しようとしているのか?
③取扱商品/サービス
どのような価値を提供しようとしていて、その「売り」は何か?
④取引先/取引関係等
わが社の商品、サービスの販売先はどのような人か?
調達はどのようにするのか?
⑤従業員
どのくらいの組織規模で起業するのか?
⑥借入状況(事業資金以外)
ここは融資をした場合の返済能力を見る材料です。
⑦必要な資金と調達方法
起業に必要な資金と使途を計画し、その資金をどのように調達するか?
⑧事業の見通し
起業した結果、1年間でどのくらいの収入と支出があるのか?
その根拠は?
ざっと上記の項目を書いていく事になります。これはあくまでも事業計画の一つのひな形ではありますが、政策公庫の【記入例】に記載されているぐらいの内容では経営に必要な事業計画としては全然足りません。
なぜ、事業計画書は必要なのかを考えるとその理由は分かると思います。
◆なぜ、事業計画書が必要なのか?
事業計画書の必要性は、必要性を考える主体が誰かによって変わってきます。
色々な主体が考えられるでしょうが、ここでは4つご紹介します。
1、起業家、経営者にとって
まずは、起業家・経営者自身にとっての必要性です。
色々な考え方はあるのだと思いますが、起業家・経営者にとって事業計画は正しいコンパスを持つために必要だと考えています。
計画を作ること自体が大切なのではなく、その作成結果として
・自社が進むべき進路を明確にする(経営方針を決める)
・進路の途中途中のマイルストーンを置く(目標設定をする)
・将来に向かって「今」何をすべきかを明確にする
・「計画」と「結果」の比較によって、自分の思惑と経営環境のギャップを認識できる
ということが可能になります。
計画達成100%も大事ですが、100%を達成するだけなら目標を下げれば誰でもできます。
それよりも、どこに進んでいくべきか、自分の立ち位置はどこか、を正しく把握するためのコンパスを持つことが事業計画の最も大事な役割ではないでしょうか。
2、自社の社員にとって
これも経営者にとってと言い換えられるかもしれません。
経営者は事業計画というカタチになったものは無いとしても、頭では常に自社の存続・成長のことを考えています。
経営者が様々な方針を打ち立てたとしても、それを実現するためには社員のみなさんがその方針を理解し行動することが必要です。
いわゆる「視える化」では無いですが、口で言うだけでなく、事業計画を作ることで社員に対しても経営者の方針を正しく伝えることが可能になります。もちろん口で100回、200回と繰り返し言い続けることも大事です・・・(仏作って魂入れずはいけません)
3、金融機関にとって
お金を貸し付ける金融機関にとっては、貸し付けたお金が回収されるかどうかが最大の関心事になります。
こちらも参照:銀行からお金を借りたいんだけどどうすればよいの?
特に、創業時の融資をする際には全く実績の無い企業に対してお金を貸すことになります。
自社がこれから何をどうやっていくのか?という計画も無い企業に対してお金を貸すことが出来るでしょうか?
何のために資金が必要で、どのように収益を上げつつ返済していくのか、を融資担当者に説明できるのは事業計画しかありません。政策公庫の記載例だけでも不十分だと思います。
※実際にひな形以外の資料を各種提出します。
4、投資家にとって
これもまた金融機関とは違う目線を持ちます。
そもそも「返済」という概念が無い「投資」をする人たちですから、その事業について視るシビアさは金融機関の比でありません。
成功企業の成功物語で、わずか数分のミーティングで投資を意思決定してもらった・・・という話もありますが、そんな事例はまず無いでしょう。
実際には自社の事業計画(何10ページ?何100ページ?)を詳細に作りこみ、作りこんだ上で短い時間で相手に中身を伝える、という作業になるようです。
ただし、実際に投資をする方に聞いてみたところ、
投資決定をする際には、事業計画の中身よりもその起業家の資質が重視される
とのことでした。
事業計画の中身は変えられても「人」は変えられないから、とおっしゃっていました。
どうやって作っていくのかはいずれブログに書いていければと思っています!