さて、起業時の疑問あるある?始めたいと思います。
前回の投稿で張り付けた画像の一番上から順番にやります。
Q:起業するときは会社を設立しなければならないのか?
A:会社を設立する以外にも、「個人事業主」という選択肢もあります。どのような形態で起業されるのかは、起業の目的や税金等でのメリット・デメリットを考えて決めることになります。
一般的に「会社」と言う場合には「株式会社」を指すことが多いと思いますが、会社法と言う法律で決められている会社組織だけでも、
・株式会社
・合名会社
・合資会社
・合同会社
の4つの形態がありそれぞれの特徴がありますが、説明はまたの機会にしたいと思います。この他にもNPO法人や公益法人など事業を行う形態は様々です。ここでは最もポピュラーな「株式会社」で話をします。
*実際に会社を設立して起業する場合には「株式会社」か「合同会社」の選択になるケースがほとんどで、登記申請時のコスト比較、会社で利益が出た際の出資した人への利益配分方法の違いを比較して選択されます。
起業をする際に株式会社を作るのではなく、個人事業主というスタートもありますが、何がどう違うのでしょうか?
1、取引をするのは誰か?
株式会社と個人事業主の違いを掴むにはまず「ビジネスの取引をするのは誰か?」をイメージするのが良いと思います。
ここで「山田一郎」さんに登場してもらいます。いまはやりの「溶解メダル」を自作して販売するビジネスを思いつきました。
「山田一郎」氏は、作った「溶解メダル」を近所の子供たちに1枚50円という金額で売っていました。
この取引は、
「山田一郎」氏という個人
が近所の子供たちとビジネスをしたことになり、「山田一郎」氏の立場は個人事業主となります。
「山田一郎」氏はこのビジネスで儲ける事が出来たので、誰かこのビジネスを代わりにやって自分は利益から分け前をもらいたい、と考えました。
そこで、自分が資本金を出し、「田中二郎」氏を役員とする「株式会社溶解」を設立しました。この会社で同様のビジネスを始めました。
この取引は、
「株式会社溶解」という会社(法人と言います)
が近所の子供たちとビジネスをした事になります。あくまでもこのビジネスは「山田一郎」氏や「田中二郎」氏ではなく「株式会社溶解」が行った取引です。
さて、ここで事件が起こりました。
「溶解メダル」を買った子供たちの保護者が「こいつは偽物だ!」と騒ぎ始め、「訴えてやる!」といきまいてきました。
会社を設立してからの事と限定した場合、保護者が訴える相手となるのは誰でしょうか?
「株式会社溶解」です。
「山田一郎」氏でも「田中二郎」氏でもありません。
もちろん、厳密な話ではなく思いっきり省略していますがイメージは掴んでいただけたでしょうか。
2、個人事業主と会社の主な違い
個人事業主、会社どちらでも起業をすることは出来ますが、どう違うのか、いくつかポイントを上げたいと思います。
①起業時にかかるコストが違う
株式会社を設立する場合には、法務局へ登記申請というものを行わなければなりません。その手続きを経てやっと「会社」の存在が認められるのです。法務局にある「登記簿」に会社の名前や事業目的、役員の氏名等が記載され公開されます。
会社設立のかかる費用は司法書士などに依頼する場合の手数料の金額にもよりますが、だいたい25万〜30万円くらいはかかると思っておいた方が良いと思います。会社の実印なども作りますし・・・。
一方、個人事業主として起業する場合は株式会社のような登記手続きなどは必要ありません。「よし、やるぞ!」と思い立った瞬間に事業を始める事が出来ます(あくまで手続き上の話です!)
②対外的な信用イメージの違い
全く初めて取引を行うときに、相手が「山田一郎」さんと「株式会社溶解」だとするとどちらの方が安心して取引が出来そうなイメージでしょうか?
ネーミングはさておき、一般的には株式会社の方が「ちゃんとしてそう」というイメージがあるのではないでしょうか。
実際は、株式会社であっても社長一人で個人事業主とほとんど変わらない場合も多々あります。あくまで「他の人から見たときのイメージ」と考えて下さい。
ただこのイメージが及ぼす影響もバカにできず、「金融機関からの融資が受けやすくなる」「新規取引先の開拓に有利に働く」などの効果はあると思います。
③税金の扱いが変わる
起業すると、好むと好まざるとにかかわらず様々な税金との関わりが出来てきます。
ものすごくシンプルに言えば、起業をして儲かれば、その「儲け」に対して税金がかかってきます。
※儲けに関係ない税金もあります。
このかかってくる税金が、個人事業主と株式会社では違ってきます。
<個人事業主の場合の儲けに対する税金>
・所得税
・個人住民税
・個人事業税
<株式会社(法人)の場合の儲けに対する税金>
・法人税
・法人住民税
・法人事業税
それぞれ、同じような並びで3つの税金がかかります。
この中で「所得税」と「法人税」の税率等が最も大きな違いを生みだしています。
ざっくり言えば、同じ事業で1,000万の儲け(=税務上は「所得」と言います)が出たとしても、かかってくる税率が変わってくるということです。詳細は省きますが計算すると、
所得税 1,764,000円
法人税 1,710,000円
あれ、あんまり変わりませんでしたね・・・。
では、儲けが2,000万だとどうでしょうか。
所得税 5,204,000円
法人税 4,260,000円
とだいぶ差が出てきました。
逆に儲けが300万円だったら・・。
所得税 202,500円
法人税 450,000円
おぉ~、逆転しました。
単純な比較なのでいろいろ突っ込みどころが本当はあるのですが、事業規模によってどちらの形態にするかを考えることもあります。
また、個人事業主の場合には「儲け」から税金を引いたものが自分の家計に入ってくるのですが、会社の場合には会社から給料を貰うことになります。
実はここのところが最大の会社形態にした場合の税金面でのメリットを受けられる仕組みです。
こちらについてはまた別の機会にちゃんと記事を書いてみたいと思います。
さて今宵はここまでにいたしとうございます。
ごきげんよう、さようなら。